みっつのシッポ
#母の日記念
お母さんは何よりも子どもたちの幸せを願っています。そして、人の思惑で蔑ろにしてよい命などありません。
「ひとつ目のシッポの話し」
シッポは5匹兄弟の5番目として、野良のお母さん犬から生まれました。
なぜ、シッポかというと、他の兄姉よりもシッポが小さいからです。
ある日、いつも優しいお母さんが、暗くなっても帰って来ない、兄姉、みんなが心細く、泣き続けました。
次の日、見た事の無い大きな生き物が、僕たちを覗き込むと同時に、次々と箱の中に、入れ始めました。最後に僕を抱え上げると「シッポが小っちゃいなぁ」と一言。箱のふたが閉められると、真っ暗、怖くなって、みんなで泣き始めました。
変な音がして、ずっと揺れていたかと思うと、たくさんの犬たちの泣き声が、箱の外から聞こえてきました。
その中にひときわ、聞き覚えのある大きな声。
箱のふたが開くと、お母さんの顔が。箱の中に顔を突っ込んで、みんなを一生懸命なめてくれ、僕らも一生懸命になめ返しました。すぐに、あの生き物が、僕たちを箱から出してくれたので、僕たちは大喜びで、お母さんに飛びつきました。
お母さんは、出掛ける事も無く、いつも一緒にいてくれるようになりました。
あの大きな生き物の仲間が、お母さんに、食べ物や水を持ってきます。僕たちもたまに食べました。でも、空も見えなく、風の匂いもしなくなりました。
何日か過ぎました。
哀しい声を聴きました。
ある日、僕たちを大きな生き物の仲間が、別の場所に連れ出しました。お母さんが吠え続けています。
僕たちは前よりも、もっと狭い場所に入れられました。
息が苦しくなりました…。
「ふたつ目のシッポの話し」
シッポは5匹兄弟の5番目として、野良のお母さん犬から生まれました。
なぜ、シッポかというと、他の兄姉よりもシッポが小さいからです。
ある日、いつも優しいお母さんが、暗くなっても帰って来ない、兄姉、みんなが心細く、泣き続けました。
次の日、見た事の無い大きな生き物が、僕たちを覗き込むと同時に、次々と箱の中に、入れ始めました。最後に僕を抱え上げると「シッポが小っちゃいなぁ」と一言。箱のふたが閉められると、真っ暗、怖くなって、みんなで泣き始めました。
変な音がして、ずっと揺れていたかと思うと、たくさんの犬たちの泣き声が、箱の外から聞こえてきました。その中にひときわ、聞き覚えのある大きな声。
箱のふたが開くと、お母さんの顔が。箱の中に顔を突っ込んで、みんなを一生懸命なめてくれ、僕らも一生懸命になめ返しました。すぐに、あの生き物が、僕たちを箱から出してくれたので、僕たちは大喜びで、お母さんに飛びつきました。
少しだけ、僕たちは大きくなりました。
ある日、
お母さんと僕たち、他の犬たちを、大きな生き物の仲間が、別の場所に連れ出しました。
久しぶりの空の下です。すると大きな生き物がたくさんいました。大きな生き物と、そっくりの半分くらいの生き物もいました。ガヤガヤと僕たちを触り始めました。
兄姉たちを、別々の大きな生き物やその半分くらいの生き物が、連れて行ってしまいました。僕はお母さんとふたりになりました。
兄姉たちはいなくなってしまいましたが、定期的にそんな日があります。
その日は、空が見えて、広い場所に出られるのが、嬉しい日でした。
また、少しだけ大きくなりました。
ある日の空が見える日、お母さんが連れて行かれました。
僕はひとりになりましたが、仲間もできました。
でも、空が見える日には、また、いなくなる事が多いです。
いつもの空の日
しわくちゃな大きな生き物が、僕を抱きかかえました。
でも、いつもの大きな人間が、何かを言って、僕を無理やり引き離しました。
また、月日が流れました。
僕は空の見えない、風の匂いもしない部屋で、いつしか長い眠りにつきました。
「みっつ目のシッポの話し」
シッポは5匹兄弟の5番目として、野良のお母さん犬から生まれました。
なぜ、シッポかというと、他の兄姉よりもシッポが小さいからです。
ある日、いつも優しいお母さんが、暗くなっても帰って来ない、兄姉、みんなが心細く、泣き続けました。
次の日、見た事の無い大きな生き物が、僕たちを覗き込むと同時に、次々と箱の中に、入れ始めました。最後に僕を抱え上げると「シッポが小っちゃいなぁ」と一言。箱のふたが閉められると、真っ暗、怖くなって、みんなで泣き始めました。
変な音がして、ずっと揺れていたかと思うと、たくさんの犬たちの泣き声が、箱の外から聞こえてきました。その中にひときわ、聞き覚えのある大きな声。
箱のふたが開くと、お母さんの顔が。箱の中に顔を突っ込んで、みんなを一生懸命なめてくれ、僕らも一生懸命になめ返しました。すぐに、あの生き物が、僕たちを箱から出してくれたので、僕たちは大喜びで、お母さんに飛びつきました。
少しだけ、僕たちは大きくなりました。
ある日、
お母さんと僕たち、他の犬たちを、大きな生き物の仲間が、別の場所に連れ出しました。
久しぶりの空の下です。すると大きな生き物がたくさんいました。大きな生き物と、そっくりの半分くらいの生き物もいました。ガヤガヤと僕たちを触り始めました。
兄姉たちを、別々の大きな生き物やその半分くらいの生き物が、連れて行ってしまいました。僕はお母さんとふたりになりました。
兄姉たちはいなくなってしまいましたが、定期的にそんな日があります。
その日は、空が見えて、広い場所に出られるのが、嬉しい日でもありました。
また、少しだけ大きくなりました。
ある日の空が見える日、お母さんが連れて行かれました。
いつものあの日
しわくちゃな大きな生き物が、僕を抱きかかえました。
はじめての事ですが、幸せな気持ちになりました。
しわくちゃな生き物は、ふたりいました。
僕を外の見える小さな部屋に連れて行くと
変な音がして、揺れ始めました。
景色が動いています。
しわくちゃな生き物は僕に
「大丈夫だよ、心配しないで、大切にするよ」
と言って微笑んでくれました。
その日から、いつも、そのしわくちゃな生き物ふたりと一緒でした。
本当に、楽しい日々が続きました。
「僕の大切な家族です。」
ある日、しわくちゃな生き物のひとりが、僕の目の前で倒れてしまいました。
もうひとりのしわくちゃな生き物が、抱きかかえて、あの動く部屋で、どこかに出かけて行きました。
暫くすると、ひとりだけ帰ってきました。
僕は玄関で、もうひとりの大好きなしわくちゃな生き物を待ちました。
でも、二度と帰っては来ませんでした。
僕の大好きな、しわくちゃなひとりの生き物は、いつも悲しそうにしています。
僕がペロペロなめると、笑顔を見せて元気を取り戻してくれます。
前にも益して、いつも一緒でした。
ふたりの時が流れました。
ある朝、大好きなしわくちゃなひとりの生き物は、眼を覚ましませんでした…
また、あの大きな生き物がやってきて、一緒に懐かしい場所に戻って来ました。
いつもの空が見える日、今度は大きな生き物と、そっくりの半分くらいの生き物が、僕をあの動く部屋に乗せました。
半分くらいの生き物が
「私たちが新しい家族だよ」と言ってくれました。
また、楽しい思い出がいっぱいになりました。
半分の生き物が、少しだけ大きな生き物になったころ、僕はその暖かい腕の中で、長い眠りに就こうとしていました。
「家族になってくれて、ありがとう」と聞こえました。
「僕も家族に迎えてくれて、本当にありがとう」と最後の声を発しました。
Comments