令和5年(2023年4月1日~2024年3月31日)の日本における犬猫の殺処分数について
- Takeshi Kimishima
- 3月27日
- 読了時間: 3分

令和5年(2023年4月1日~2024年3月31日)の日本における犬猫の殺処分数については、環境省が発表する「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」に基づくデータから考察できます。このデータは毎年更新され、自治体や動物愛護センターにおける犬猫の収容、譲渡、殺処分の状況を詳細に示しています。以下に、令和5年の状況を踏まえた考察を行います。
まず、近年の傾向として、日本では犬猫の殺処分数が大幅に減少していることが挙げられます。環境省の統計によれば、令和4年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の殺処分数は犬が2,434頭、猫が9,472頭で、合計11,906頭でした。令和5年度については、2025年3月に一部の情報が公開されており、X上の投稿などから「犬猫合わせて1万頭を切った」との報告が見られます。これは過去最少を更新する数字であり、殺処分削減に向けた取り組みが成果を上げていることを示唆しています。
この減少の背景には、いくつかの要因が考えられます。第一に、動物愛護管理法の改正や自治体の取り組み強化が影響しています。例えば、飼い主による安易な引き取りを拒否できる規定が強化され、収容数が減少していることが大きいです。また、マイクロチップの装着義務化や不妊・去勢手術の普及により、野良犬猫の繁殖が抑えられ、結果として殺処分の対象となる動物が減っています。第二に、動物愛護団体やボランティアによる譲渡活動の活発化も寄与しています。神奈川県や奈良市のように、長期にわたり殺処分ゼロを達成している自治体では、こうした民間との連携が成功例として挙げられます。
犬と猫の殺処分数を個別に見ると、猫のほうが依然として多い傾向が続いています。これは、猫の繁殖力の高さや、所有者不明の野良猫が多いことが原因と考えられます。一方で、犬については野犬対策や迷子犬の返還率向上により、殺処分が抑えられている地域が多いです。例えば、新潟県では令和5年度の犬の殺処分が7頭と極めて少なく、猫も224頭まで減少しており、全国平均を下回る成果を上げています。
しかし、殺処分ゼロが達成されたとしても、課題は残ります。譲渡が困難な高齢や病気の動物に対するケアや、多頭飼育崩壊のような社会的な問題への対応も必要です。殺処分数の減少は喜ばしい一方で、数字の裏にある動物福祉の質を見極めることが重要です。

令和5年の殺処分数が1万頭を切ったことは、日本の動物愛護が進歩している証左です。しかし、ゼロを目指すには、飼い主教育のさらなる徹底、保護団体の支援拡充、そして地域ごとの課題解決が不可欠です。この数字は一つの節目として捉え、今後も持続的な努力が求められると言えるでしょう。
Commenti