猫の歴史 《 保存版 》

猫の歴史　《 保存版 》

猫の歴史は、人類との関わりを中心に非常に興味深いものです。以下に、簡潔かつ包括的に猫の歴史をまとめます。

1. 古代の起源：野生猫から家畜化へ

起源: 家猫（Felis catus）の祖先は、約12,000年前の中東（特に「肥沃な三日月地帯」）に生息していたリビアヤマネコ（Felis lybica）とされています。DNA研究により、現代の家猫はこの種に由来することがわかっています。

家畜化の始まり: 約9,000～10,000年前、農耕文化の発展に伴い、人間が穀物を貯蔵するようになると、ネズミを捕まえる猫が自然と人間の集落に近づきました。この共生関係が家畜化のきっかけに。キプロス島で発見された約9,500年前の猫の墓（人間と一緒に埋葬）は、猫と人間の初期の絆を示しています。

2. 古代エジプト：猫の神聖化

神聖な存在: 紀元前3,000年頃の古代エジプトで、猫は神聖視されるようになります。特に、豊穣と母性の女神バステト（Bastet）は猫の姿で描かれ、猫は家庭や神殿で大切にされました。

社会的役割: 猫はネズミから穀物を守る実用的な役割に加え、ペットとしても愛され、死後はミイラとして埋葬されることもありました。猫を傷つけることは重罪でした。

交易による拡散: エジプトから猫は船に乗って地中海沿岸やヨーロッパに広まり、害獣駆除役として重宝されました。

3. 中世ヨーロッパ：栄光と迫害

初期の評価: 中世初期のヨーロッパでは、猫は農作物を守る有用な動物として農家や修道院で飼われていました。

魔女狩りの影響: 13世紀以降、キリスト教の影響で猫（特に黒猫）が魔女や悪魔と結びつけられ、迫害の対象に。多くの猫が虐殺され、これがペスト（黒死病）の流行を悪化させた可能性も指摘されています（ネズミが増えたため）。

復権: ルネサンス期以降、猫の有用性が再認識され、ペットとしての人気も回復しました。

4. アジアでの猫の歴史

中国・日本: 猫はシルクロードを通じてアジアに広まり、中国では6世紀頃、仏教の経典をネズミから守るために寺院で飼われました。日本には奈良時代（8世紀）に中国から伝わり、貴族のペットや寺の守護者として愛されました。『源氏物語』にも猫が登場し、平安時代の貴族文化での親しみがうかがえます。

招き猫の起源: 江戸時代（17～19世紀）に日本で「招き猫」が登場。商売繁盛や幸運のシンボルとして広まり、現代でも人気です。

5. 近世～近代：ペット文化の確立

ヨーロッパのペット化: 18～19世紀、産業革命とともに都市化が進むと、猫は害獣駆除から家庭のペットへと役割が変化。ヴィクトリア朝のイギリスでは、猫の品種改良やキャットショーが始まり、ペルシャ猫やシャム猫などが人気に。

品種の多様化: 19世紀末から、選択的繁殖により多様な猫種（メインクーン、アビシニアンなど）が誕生。国際的な猫の品種登録団体（例：CFA、TICA）が設立され、猫の品種文化が確立。

文学・芸術での登場: 猫はエドガー・アラン・ポー（『黒猫』）、T.S.エリオット（『キャッツ』の元となった詩）、さらには近代のアニメや映画（例：ハローキティ、猫バス）に登場し、文化的なアイコンに。

6. 現代：世界的な猫ブーム

インターネットと猫: 21世紀に入り、YouTubeやSNS（特にX）の普及で猫動画やミームが爆発的に広まり、猫は「インターネットの王」と呼ばれるまでに。「Grumpy Cat」や「Lil Bub」などの有名猫が世界的な人気者に。

動物愛護の進展: 野良猫の保護活動（TNR：捕獲・去勢・リリース）や、猫の健康管理、ペット産業（キャットフード、グッズ）が発展。猫は世界で最も人気のあるペットの1つに。

文化的影響: 日本では「猫の日」（2月22日）、猫カフェ、猫島（例：青島、田代島）が観光名所に。欧米でも猫はセラピーアニマルとして注目されています。

まとめ

猫の歴史は、野生動物から神聖な存在、迫害の対象、そして愛されるペットへと変遷してきました。地域や時代によって異なる役割を果たし、現代では世界中で文化的・感情的な重要性を持つ動物です。

※画像はフィクションです。