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怪談猫之伝:春町風物語

  • 執筆者の写真: Takeshi Kimishima
    Takeshi Kimishima
  • 10月2日
  • 読了時間: 2分

10月2日は「とうふの日」。とうふと言えば、大河ドラマ「べらぼう」の恋川春町さんが、とうふの角で頭を打って自害するシーンが印象的でした。そんな春町さんも、黄表紙で猫の物語を残しています。以下、春町さん風の猫の世界をお楽しみ下さい。




むかし、江戸の裏町に欲深な商人・金兵衛という男がおった。こやつ、金儲けのことしか頭になく、夜な夜な算盤を弾いては「もっと銭、もっと銭!」とほざく始末。ある晩、銭湯帰りに路地裏で妙な黒猫に出くわした。目がキラリと光り、まるで人間を値踏みするような顔だ。


「へっ、ただの猫め」と金兵衛、追い払おうと石を投げると、猫がニャッと笑いやがった! 驚いた金兵衛、目をこすってみれば、猫は消え、代わりに古びた提灯がポツンと落ちている。持ち上げると、提灯から煙がモクモク。たちまち金兵衛の目の前には金銀財宝の山! 「こりゃ夢か!?」と目を輝かせ、欲の皮を突っ張らせた。


だが、財宝に手を伸ばした瞬間、猫の声が響く。「欲に目がくらむと、身が滅ぶぞ~」。見れば、黒猫がでっかく化け、尾を振れば金が消え、爪を立てれば家がガタガタ揺れる! 金兵衛、腰を抜かし、「助けてくれ!」と泣き叫ぶが、猫はニヤリと笑ってこう言う。「お前の欲、わしの腹で消化してやるわ!」


次の朝、金兵衛が目覚めると、財宝も猫も消え、懐は空っぽ。だが、不思議と心は軽くなっていた。以来、金兵衛は欲を抑え、町の猫に米粒を分けるようになったそうな。噂じゃ、夜な夜な黒猫が金兵衛の店の軒先でニャオニャオと笑うとか、笑わんとか。


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