北欧スウェーデンの犬猫事情
- Takeshi Kimishima
- 6月6日
- 読了時間: 4分
6月6日 建国記念日 ( スウェーデン)
1523年6月6日、グスタフ・ヴァーサがスウェーデンの国王になり、カルマル同盟(デンマーク)から独立したことを記念。

個人的な話で恐縮ですが、以前、某北欧住宅の店長兼事業部責任者を務めていた際や、某北欧住宅国内初のAPをデザインした折に、郡山の大学生で注目を集めていた若きグリーンさんが入居するなど、スウェーデンは私にとって身近で特別な国、思い出深いスウェーデンですが、今回は福祉先進国として知られるこの国の、野良犬猫事情について調べてみました。
1. 野良犬がほぼ存在しない
* 厳格な動物保護法: スウェーデンの動物保護法は、犬の飼育に関して厳しい規制を設けています。例えば、犬を6時間以上単独で留守番させることや、ケージでの飼育、2時間以上のつなぎ飼いが禁止されています。これにより、犬が適切な環境で飼育され、飼育放棄が起こりにくくなっています。
* マイクロチップの義務化: 犬は生まれてすぐにマイクロチップを埋め込まれ、飼い主の情報が登録されます。これにより、迷子になっても飼い主にすぐ連絡が取れ、野良犬になる可能性が極めて低いです。
* ペットショップでの販売禁止: スウェーデンでは、ペットショップでの犬や猫の販売が法律で禁止されており、犬は主に登録されたブリーダーから購入されます。ブリーダーは飼い主の適格性を厳しくチェックし、衝動的な飼育を防ぎます。
* 高いペット保険加入率: 約80%の犬がペット保険に加入しており、獣医療費の負担が軽減されるため、飼い主が責任を持って飼育を続けることが容易です。
* ドッグシッターや犬の保育園: 共働きが多いスウェーデンでは、犬が長時間留守番しないよう、ドッグシッターや犬の保育園(ドッグデイケア)が普及しています。これにより、犬のストレスが軽減され、飼育放棄が抑えられます。
2. 野良猫の状況
* 野良猫の推定数: ストックホルム周辺では約3万匹の野良猫がいると推定されていますが、野良犬に比べると数は多いものの、全体的に管理されています。
* 保護システムの充実: 野良猫は保護施設(キャットシェルター)や保護猫カフェに収容され、新しい飼い主を探すシステムが整っています。保護猫カフェでは、猫と触れ合いながら相性を確認でき、引き取り希望者はシェルターを通じて正式な手続きを行います。
* マイクロチップの義務化: 2023年1月から、猫にもマイクロチップの登録が義務化され、飼い主の管理が強化されています。これにより、猫が野良になるのを防ぐ取り組みが進んでいます。
* 自由な生活の尊重: スウェーデンでは、猫が室内外を行き来する生活が一般的で、獣医師も「猫らしい生活」を推奨します。郊外では猫が外で過ごすことが多く、迷子になる場合もありますが、迷い猫の貼り紙や保護施設を通じて飼い主に戻されるか、新しい飼い主が見つかります。
* 去勢率の高さ: 猫の去勢率は約80%で、望まない繁殖が抑えられ、野良猫の増加が防止されています。
3. 動物愛護の文化とその影響
* ペットは家族の一員: スウェーデンでは、ペットは家族として扱われ、賃貸住宅でもペット飼育が許可されるのが一般的です。公共交通機関でも犬の乗車が認められ、ペット同伴の文化が根付いています。
* 殺処分ゼロ: 野良犬猫が少ないこと、保護施設や里親制度が充実していることから、スウェーデンでは殺処分がほぼありません。
* 高い愛護意識: スウェーデンの動物保護法は、動物が「自然な行動」を取れる環境を保証することを重視しています。例えば、犬や猫をケージに閉じ込めることは禁止され、猫が外でパトロールしたりネズミを追ったりする行動が尊重されます。
4. 日本との違い
* 日本ではペットショップでの販売や飼育放棄による野良猫の存在が問題となっていますが、スウェーデンではブリーダーや保護施設からの入手が一般的で、衝動的な飼育が少ないです。
* 日本のペット飼育率(犬15.8%、猫10.1%)に比べ、スウェーデンは犬12.9%、猫16.8%と猫の飼育率がやや高めですが、全体の飼育率は日本より低いです。これは、厳しい規制により飼育のハードルが高いためです。
* 日本では野良猫(地域猫)が港町などで見られますが、スウェーデンでは港町でも野良猫はほぼおらず、首輪をした飼い猫がほとんどです。
5. 課題と今後の展望
* 野良猫の数は犬に比べると多いため、2023年からの猫のマイクロチップ義務化により、さらなる管理強化が期待されています。
* 保護施設や保護猫カフェの運営は、動物愛護団体やボランティアによって支えられており、国民の高い意識がシステムを支えています。
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