雑種犬ジャックと未来の子どもたち!
- Takeshi Kimishima

- 7月30日
- 読了時間: 4分
ジャックの罠
プロローグ:荒廃した未来
2085年、審判の日後の世界。空は灰色に覆われ、焼け焦げた都市の廃墟が広がる。人類はスカイネットのターミネーター軍団に追われ、抵抗軍はわずかな希望を胸に戦い続けていた。ロサンゼルスの崩壊したビル街に、孤児となった子供たちの一団が身を潜めていた。リーダーの少年ケン(14歳)、妹のミナ(10歳)、そして数人の幼い子供たち。彼らの唯一の守護者は、雑種犬のジャックだった。黒と白の毛並みを持ち、鋭い目をしたジャックは、かつて抵抗軍の兵士に飼われていたが、主を失った後、子供たちを家族として守り続けていた。
ターミネーターの追跡
その日、廃墟に不気味な静寂が漂っていた。ジャックは耳をピクリと動かし、低く唸る。ケンはその合図を理解し、子供たちに隠れるよう指示した。遠くから金属の足音が響く
――T-800型ターミネーターだ。赤く光る眼球が暗闇で不気味に輝き、子供たちの隠れ家を執拗に探していた。スカイネットは抵抗軍の次世代を抹殺するため、孤児たちを標的にしていたのだ。
「ジャック、頼むよ…」ケンはジャックの首を撫でながら囁く。ジャックは静かに頷くように鼻を鳴らし、子供たちを奥の廃墟へと導いた。ターミネーターのスキャナーがビルの隙間を舐めるように動き、金属の腕がコンクリートを砕く音が近づく。ミナは震えながらジャックの毛にしがみついた。「ジャック、怖いよ…」ジャックはミナの頬を軽く舐め、落ち着かせる。
緊迫の逃走
ジャックは子供たちを地下の排水路へと誘導した。狭いトンネルは湿気とカビの臭いに満ち、足元は水で滑りやすい。ターミネーターの重い足音が地上で響き、コンクリートを突き破る音が背後に迫る。ジャックは後方を振り返り、鋭く吠えてターミネーターを引きつける。ケンは叫ぶ。「ジャック、危ない!戻って!」だが、ジャックは子供たちを逃がすため、わざと目立つ動きで敵を挑発した。
ターミネーターは排水路の入り口に到達し、冷酷なスキャナーでジャックの姿を捉える。ジャックは素早くトンネルの分岐点へ走り、ターミネーターを狭い通路に誘い込む。子供たちは別の出口へ向かい、ケンがミナの手を握りながら必死に走る。「ジャックは大丈夫だ、信じよう!」と自分に言い聞かせる。
窮地とジャックの知恵
排水路の奥で、ジャックはターミネーターを狭い鉄骨の隙間に誘導した。ターミネーターの巨大な体は通路に引っかかり、動きが鈍る。ジャックは吠え続け、敵の注意を引きつけるが、ターミネーターの腕がジャックを掴もうと伸びる。その瞬間、ジャックは素早く身を翻し、鉄骨の隙間を抜けて逃げる。ターミネーターは追おうとするが、鉄骨が軋み、崩れ落ちる音が響く――ジャックが事前に仕掛けた罠だった。
実は、ジャックは数日前、抵抗軍の廃棄された爆薬を見つけており、ケンと協力してこの場所にトラップを仕掛けていた。崩れた鉄骨の下で、ターミネーターは一時的に動けなくなる。ジャックは子供たちのもとへ急いで戻り、出口で待つケンたちと再会。ミナはジャックに抱きつき、「ジャック、すごいよ!」と涙を流す。
意外な結末
だが、ターミネーターはまだ機能を停止していなかった。廃墟の瓦礫を押し退け、ゆっくりと立ち上がる。その赤い目がジャックと子供たちを捉える。ケンは絶望的な表情で銃を構えるが、弾は残り少ない。ジャックは子供たちの前に立ち、唸り声を上げる。緊張の瞬間、ターミネーターは突然動きを止めた。スキャナーがジャックをじっと見つめ、データ処理の音が静かに響く。そして、信じられないことに、ターミネーターは右手を上げ、親指を立てて👍のジェスチャーをした。それはまるで、ジャックの知恵と勇気を認め、健闘を称えるかのようだった。ケンは目を疑い、ミナは「なんで…?」と呟く。ターミネーターはゆっくりと踵を返し、廃墟の闇に消えていった。スカイネットのプログラムに異常があったのか、あるいはジャックの抵抗が一時的な「非脅威」と判断されたのか、誰も知らない。
エピローグ:希望の光
子供たちはジャックに導かれ、抵抗軍の隠れ家にたどり着いた。ジャックは疲れ果てながらも、ミナの隣で尻尾を振る。ケンはジャックの頭を撫でながら言う。「お前は俺たちのヒーローだ、ジャック。」夜空には、灰色の雲の隙間から一筋の星の光が見えた。それは、絶望の中でも希望が残っていることを示していた。

To be continued…






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